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多分8年か9年前の出来事。

なんの用事かは思い出せないのだけれど、僕は町田にいた。
小田急線からJRに乗り換えるためにペデストリアンデッキを
何を思うわけでもなくただ、淡々と歩いていた。

僕はひとりで歩いている時は、
だいたいなにかしらを頭の中で考えていて、
いつもその考えに集中し過ぎてしまい、
視覚も聴覚もおざなりになる。

知り合いの人とすれ違っても、
誰かに声をかけられても、
十中八九気づくことはない。

でもその日はなぜかヴァイオリンの音色が僕の耳を捉えた。

どこかでだれかがヴァイオリンを弾いている。
周囲を見渡すと、10mほど前方に
路上ライブをやっているヴァイオリニストを確認することができた。

多くの人たちが足早にその場所を通り過ぎていたけれど、
何人かはしばらくの間足をとめたりしていて、
常時15人くらいの人だかりができていた。

ちょっと迷ってから、僕はその人だかりの輪に加わった。

演奏の内容までは覚えていないけれど、
そのヴァイオリニストから伝わってくる、
楽しい雰囲気を感じる事ができた。

僕が聴き始めてから15分ほどで演奏は終わり、
最後に片言の日本語で ―彼はポーランド人だった―
目の前に置いてあるCDの説明を始めた。

僕はとくに音楽的素養もないので、
その演奏が音楽的に優れているかどうかは分からなかったのだけれど、
ここでこうして会ったのも何かの縁だしなと思って、
楽しい時間をもらったお礼に、彼のCDを2枚購入した。

別れ際に笑顔で握手をして、
また僕は脇目も振らずJRの駅をめざして歩き始めた。

ここまでは特に珍しくもなんともない、よくある風景だ。
僕自身も、1年に何度かそのCDを聴くけれど、
そういばそんなこともあったなと思い出すくらいの出来事だった。

そして数ヶ月前。

とある異業種交流会で、不意にそのヴァイオリニストの名前を耳にした。

記憶が一気に過去にさかのぼり、ありありと当時の風景が蘇ってきた。
僕はなんだかうれしくなって、
ヴァイオリニストの名を紹介していた方に声をかけた。

その方はそのヴァイオリニストの後援をし「友の会」を
運営しているということで、
12月に行われるコンサートを紹介するために交流会に参加されていた。

僕はヴァイオリニストとの一時の出会いを語り、
なつかしいですと話をした。

その方も、そんな偶然があったことに、喜んでくれているみたいだった。

そんなわけで、僕は12月に行われるそのコンサートに行く。
そこで彼のヴァイオリンを聴いて、
僕の心にどんな思いがわき上がってくるのか、
今はまだ想像もつかない。

人に自慢できるほど不思議な体験ではないし、
本当にささやかな出来事だけれど、
こんな少しの偶然が、人生に確かな喜びを与えてくれるのは、
間違いのないことだと思う。

暑い日が続いています。
ここまで極端な天候が続くと、本当に地球のことが心配になります。

だからというわけでもないのだけれど、
秋山立花ではあまりエアコンをつけない。

すごく暑いといっても、
自然の風がはいってくるとそれなりに涼しいし、
自然の風に吹かれながら仕事をするのは気持ちがいい。

事務所のベランダに目をやると
ニシザキ工芸さんからいただいた朝顔が元気に育っていて、
視覚的に涼を与えてくれる。

植物に水をやり、ベランダに打ち水をすると、
心も体も少し涼しくなる。

聴覚的にも涼をとりいれたいので、
今週末にでも風鈴を買いにいこうと思っている。

暑いことは暑いのだけれど、
五感でしっかりと涼をつかまえることができれば、
そんな暑さも楽しめるようになる。

家の設計も同じだ。
涼をつかまえられるように考えながら設計する。
風通りや自然光の取り入れ方次第で、エアコン無しでも過ごせる家になる。
(梅雨時は除湿器は必要かもしれないけれど)

「自然の力」と「人の技術力」をうまく合わせれば、
今年のような夏でも元気に過ごせるはずだ。

日本には刀に関する言葉が数多くある。

つばぜり合い。
元の鞘におさまる。
鞘当て。
切羽詰まる。
あいづちを打つ。
反りがあう。
焼きをいれる。

ざっと思いつくところでも、これだけでてくる。
ちゃんと調べれば、もっと多くの言葉が刀を由来として存在するはずだ。

そんな言葉の中で僕は「真剣」という言葉が好きである。

僕は日本刀を鑑賞するのが好きで、
展覧会などがある時は、時間があれば行く事にしている。

そして、本物の日本刀をじっと眺めながら、
「真剣」という言葉が持つ、凄みをいつも考える。

吸い寄せられるように美しく、芸術品の域まで達し、生命を絶つこともできる存在。
見ているうちに、その迫力に背筋が凍ってしまうこともある。

日本刀の持つ緊迫感、緊張感、凛とした佇まいと、美しさ。
その域まで自分の精神状態を持っていく事ができて、
初めて「真剣」という言葉を使うことができる。

だから僕は建築に対して「真剣」であると言うことができるように、
日々鍛錬をしていかなくてはならないと思っている。

ちなみに、この「鍛錬」という言葉も、
金属を打って鍛える事という意味からも、日本刀に由来する言葉だそうです。

7月11日にいよいよ神奈川県大会が始まりました。
高校野球の季節です。

学生スポーツの一競技が、
日本全国で、しかも老若男女問わず、
毎年多くの関心を集めているのだから、
高校野球というのはすごいと思う。

僕もいわゆる高校球児だったわけで、
この季節になると自然と高揚感がわき上がってくる。

母校の試合も近づいてきて、
観戦に行きたくてしょうがないのだけれど、
今年は仕事があるので行く事ができない。

後輩たちがグラウンドで汗を流している瞬間に、
僕は現場で汗をかいている事だろう。

夏の高校野球と夏の現場に共通していることの一つに、
とんでもない「暑さ」がある。

元高校球児であり、現場監理者でもある僕としては、
高校球児も現場の職人さんも、
熱射病にだけは気をつけてもらいたいと切に願っている。

ところで、野球場に入場して、
ちょっと暗い通路を歩いていき、
パッと視界が開けて眼前にグラウンドがひろがる時の
あの刺激的な空間体験っていいですよね。

建築に携わる元高校球児としては、
「野球場」の設計は憧れである。

いつか必ず、野球場の設計を秋山立花で手掛けたい。
そして、その球場で野球を観戦しながら
おいしいビールをジャブジャブ飲みたい。

むわっとした湿度に包まれる日々が続いていますね。
ビールの季節です。

お酒を嗜むようになってからの経験を統合すると、
僕の体質に合っているお酒は

1位 日本酒
2位 ウィスキー
3位 ビール

となっているようです。
ハイカラな感じがしないラインナップになっていますが、
体質なのだからしょうがないですね。

葡萄酒などの他のお酒も大変おいしく飲ませていただくのですが、
(ヨーロッパを旅した時はここぞとばかりに葡萄酒を飲みましたが、、、)
やはり、量を飲み過ぎると頭が痛くなってきてしまいます。

なので僕としては自分の体質に合う、
日本酒、ウィスキー、ビールに対し尊敬の念を持って、
これからもしっかりと向き合っていく所存です。

さて、「ビール」と聞くと、僕は行きたいくなる場所が2つあります。

それは神宮球場と神田のとあるビールバー。

なんでもそうなのだけれど、同じお酒でも、
どこで飲むのか、誰と飲むのかで、感じる味が違ってくる。
お酒もさることながら、「空間」と「雰囲気」もとても重要なのですね。

神宮球場は、都心にあるのに緑に囲まれているクラシックな球場です。
星空の元、野球を見ながら飲むビールは、がぜん喉ごしが違う気がする。
自分の応援しているチームが勝っている場合は旨味が増すのは言わずもがな。

神田のビールバーは大学生の頃にちょくちょく行っていたのだけれど、
働き出してからは2、3年に一度くらいしか行かなくなってしまった。
90種類以上のビールがそろっていて、
ビールの奥深さを教えてくれるすてきなお店です。
まさにこの瞬間にも、
何種類もの、そして何杯ものビールが人々の乾いた喉を潤しているに違いない。

今年はどちらにもまだ行っていないから、
この2ヶ月の間に、絶対に訪れようと思う。

そして、みんなが笑顔でビールに向き合えるようなすてきな空間を
いつか設計してみたい。