あるといいながあるところ。
地域の拠り所となれるような場所を目指して。
空き家になっていた住宅と倉庫と蔵を改修して、地域包括ケアの拠点を設計しました。
にほんの里100選に東京で唯一選ばれた小野路。
里の風景と、年数を重ねた建物が点々と残る街道の一角。
珈琲の香りとともに人々が談笑している。
周辺の農家で採れた野菜がふんだんに使われたランチを目指して、街道を散策していた人が集まる。
みんなで竹を割ったり、畑を耕したりする。
そんな風景をこの場所に生みだすことができればと考えて設計を進めました。
地域の人々の生業の一部になり、地域の人々の生活のなかに組み込まれていく。
その場所があるから、地域の幸福度が上がる。
その場所があるから、ここで暮らす喜びが増える。
その場所があるから、暮らし続けることができる。
このプロジェクトは建物の改修であるとともに、地域の改修でもあり、風景の改修でもあり、こころの改修でもあると強く感じます。
人々が集い、地域と繋がっていくこと。
それはいわゆる医療ではないかもしれないけれど、人々と地域の生活の質を向上させるという意味では、広義に医療行為であると言えるのではないでしょうか。
母屋を改修した『kitchinとまりぎ』
住まいであったころ、この部屋は親戚が集まる場所であった。
姿を変え、今度は地域の人が集うカフェへ。
築50年をこえていた2階建ての倉庫は、今にも崩れ落ちそうだった。
構造の補強と減築を行い、2階の床を撤去して、大きな空間をもつ集会場に。
ここではイベントやセミナー、研修などが行われている。