幼少のころを過ごされた家であるならば、古家を壊し、新しく建て替えるということよりも、改修するという選択肢がもっと選ばれるようになると良い。
新築と改修では、設計の入り方がまるで違うものになる。新しい空間への要望と同じくらい、この家での思い出に耳を傾ける。
この空間で何がおこって、どのような生活があったのか。
必ずしも「思い出」を物理的に空間に残す必要はない。
一番大切なのは、思い出を巡る対話を経た上で、設計が進んで行くことだ。
新しい空間を考えながらも、過去のことを振り返り続ける。
設計が進んでいるその時間が、幼少のころの自分と再び巡り会うための貴重な時間になるのだから。